第64回〈暮らしの中の看取り〉準備講座        

 「聴く力」を養う 第13弾

    グリーフってなに?
    ー私たちの身近にあるグリーフー

今回は、グリーフサポーター/葬祭士の是枝嗣人さんと緩和ケア医の大井裕子さんからグリーフについてお話しいただきました。

是枝さんからは、グリーフとは喪失に伴う悲しみのことで、意外と私達の身近なところにもあることや、おめでたいことの裏側にも実はグリーフがあるのだということを教えていただきました。

大井さんからは、看取りの現場にあるグリーフについて紹介いただきました。看取りのあとだけではなく、看取りまでの関わりがグリーフを少しでも軽くすることができるかも知れないというお話しでした。

今回は45名の方がご参加くださり、4箇所のサテライト会場から20名、オンラインの参加者が25名でしたので、各サテライト会場と、ブレイクアウトルームに分かれて少人数でグループディスカッションを行いました。

その中では、まず自己紹介と感想を少しお話しいただいた後、自分の中にあるグリーフについて考えてみたり、自分が喪失(グリーフ)から回復するためにやっていたこと、いわゆるグリーフワークとしてなにをしていたのかなどを考えてみました。

興味深かったのは、ある参加者の方の気づきでした。
それは、自分がとてもつらかった、本来の自分を失ってしまっていた頃のことを振り返ってみると、その裏には自分の大切なものの喪失があったのだと気づくことができたというものです。

また、ある方はグリーフから回復するときに”推し活”がとても役立ったという体験をお話くださいました。

まだまだ時間を使って、深めていきたいテーマでしたが、続きは身近な仲間と、そして午後からのくみサポの家で話すこととしてこの講座を終了しました。

最後に、ご参加くださった方々から、公開することに了解をいただいたコメントをこちらにご紹介します。

★推し活のススメはグリーフサポートになるかもしれません。

★人の経験を聞くことで、いろいろなケースがあることを知り、自分が誰かの話を聞いた時の余裕になる。
人は自分が死ぬことを考えていないので、親族が急に亡くなったあと、何年もゴタゴタが続いたと思い出した。
母が亡くなるまでの過程で、受け止めきれない父のフォローが辛かった。
今まで誰にも言ったことがない。
私は在宅医と看護師さんのおかげで、父の看取りにかけらも後悔はない。
人の話を最後まで聞くことはとても難しいけれど、大事だと改めて思った。

★聴く場や聴く人をあえてつくる必要があるという世の中なんだよなぁー。
あえて作らないと聴いてもらえない。それは、ほんとに実感する。

★あなたの人生を生きなさいと言ってくれた人がいて、そうだなぁと思って実践してきた。
簡単じゃないし長い年月をかけてのこと。
やっぱりひとりでなんとかするのではなくて、第三者につながること、とても大事だと思う。

★いつでも安心して戻ってこれる場を作っておくこと、それが自分の役割かなぁ。

★奥底にある悲しみや喪失体験は、そう簡単に話す気になれない。
聴く側はそういった話し手の気持ちもあることを心得ておくことって大事かもしれない。
そして、話したいなぁ〜と思うタイミングを温かく見守っている、そんなスタンスも必要かなぁー。

★画面越しでも話に頷いてもらえると、気持ち分かってくれたかな、と思えるものだな、と思った。
グリーフ=死別の悲しみと思っていたが、違った。様々な喪失体験がある事がわかった。

★話を聴く、聴いてもらうことの大切さなど、多数ありました。ありがとうございました。

★グリーフと聞くと死別というイメージでしたが、普段の日常にもあるものだと気づくことができました。

★グリーフはどこにでもあり、誰もが抱えている。
乗り越える自分なりの方法について、具体例を羅列できると、考えつかない人にとってはいいかもしれない。
まずはマネから。

★是枝さんの講演で示された”悲しみと折り合いをつける6原則”を、広く周知すると良いのではないだろうか。

★グリーフとの付き合いのなかで、「推し活」が役に立つ、は興味深かったです。
グリーフを抱えることになってからではなくて、日々、自分に心地よいこと、楽しみを持つことが、いざというときの自分を助けてくれるということかと感じました。
また、グループの中で出ていた、経験していることへの「意味づけ」。
何かタイミングが来た時に、自ら意味を見つけていくことがその先を歩く力にもなる。