第63回〈暮しの中の看取り〉準備講座

=暮らしの中の看取り=

楽しく学ぶ認知症

〜見方が変われば、何かが変わる〜

 

今回の講座は、広島駅前にある広島市総合福祉センターで現地参加のみでの開催でした。

 

まず、講師の小野一惠先生から、認知症の基本的な症状と認知機能が低下するとどのようなことがおこるのか、認知症になった方の体験談をまじえながら、くわしく教えていただきました。

 

講義の中で「皆さんのもつ認知症のイメージは?」「もしも自分が認知症になったら?」と認知症を自分ごととして考える時間がありました。いろいろなことを忘れていく、周りの人に迷惑をかけたくない、薬を飲むと効果があるのか、などいろいろな意見がありました。

 

小野先生は、厚生労働省のホームページに記載されている「もしも気になるようでしたらお読みください:000521036.pdf (mhlw.go.jp)」を引用して、認知症と加齢によるもの忘れは明確に区別できるものではなく、すべて自分の人生の連続の中にある、認知症という病気は、私たちの人生の一部である、と教えてくださいました。

たとえば、毎日の着替えを忘れていても、最近の社会のニュースは気にしている、という方のお話をされました。

認知症であれば最近のことはすべて忘れるのではなく、ご本人が今までの人生で気にかけていたことは変わらないこともあるのです。

私たちが今人生を送る中で、何を大切にして生きているかで、その後の人生にも影響していくことがわかりました。

また、自分が認知症になったら?ということについては、「自分のことは自分で決めたい」「家族やまわりの人に迷惑をかけたくない」という意見が多く出ました。これは、小野先生が紹介された認知症の方の思いとまったく変わりありませんでした。何も特別なことはなく、人として生きて最期の時を迎えるまで、私らしくありたいという思いは同じであることを実感しました。今回の講座のテーマにあったように、見方が変われば、認知症にたいする考えかたも変わってきました。このほか、現在国内のいろいろな地域で取り組まれている認知症の見守りサービスなどについても紹介していただき、とても参考になりました。

 

後半は、少しずつ認知症の見方が変わった参加者がグループになり、「もし、自分が認知症になったら自分でどのような工夫ができるか」「地域にどのような支援があると嬉しいか」を一緒に考えました。

 

グループの話し合いでは、自分で工夫することは、メモを取ること、頼る人を決めておく、外出して社会とのつながりをもつなどの意見がありました。

中には自分でできるようにオール電化にする、料理をしなくていいようにする、という意見もありました。

地域にどんなサービスがあるとよいかについては、見守りや話し相手のサービス、宅配サービスが在庫管理もしてくれる、格安の介護サービスがあるとよい、などの意見がありました。

他にもテレビ番組の「はじめてのおつかい」のように出かけた先でいろいろなご近所さんが気にかけてくれる地域づくり、認知症の村をつくり明るくみんなでボケ自慢をして笑い合う、たまには1人の時間を作れる環境があるといい、調理しなくても暖かいものは暖かく食べられる食品開発、などなどユニークな意見もありました。

 

最後は全員で、「私認知症なんです」といっても「へえ、そうなんだー」とありのままを受け入れあう地域で自分らしく過ごしたいね、とまとまりました。

参加した方からのコメントをご紹介します。

・自分が認知症になったらと考えて講座を受けたことがないので、おもしろかった

・今から準備できることはしておきたい

・グループワークで話したことが少しでも実現できるようにしていきたい

 

今回ご参加いただいた皆さん、小野先生、楽しい学びの時間をご一緒できて嬉しかったです。ありがとうございました。