今回は、栗原幸江さんをお迎えした「聴く力」を養う!シリーズの2回目で

ナラティブメディスンをテーマとしてレクチャーとワークの時間をいただきました。

くみサポの鈴木さんのレポートと参加者から是非共有したいといただいたコメントをここで紹介して活動報告とさせていただきます。

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暮らしの中の看取り準備講座

「ナラティブ・メディスン」・・って何? 😅

ナラティブは物語、メディスンは医療
「患者の物語に耳を傾ける医療」
患者の言葉に耳を傾け、病いの体験を物語のように理解し、解釈する。
物語を受け取るケア提供者は、自分の内面を育む事が大事。アートに触れ、注意集中力、表現力を磨く。表現が細やかになると聴く耳も細やかになる。
医療(サイエンス)と芸術(アート)は相反するものに思われるが、この2つを合わせ持つようにする。
様々なクリエイティブ、イマジネーション、気づき、読み解きはアートの分野。
そのままを鵜呑みにしない、それでいいのかと疑問を持つ、決めつけ思い込みに注意するのはサイエンスの分野。

「話を聞く」と「語りを聴く」は別物で、患者さんに苦しい心の内を語ってもらうには、こちらの聴く態度も大事、と知ってはいても実際どうなのか?
ワークを通して自分と異なる視点、考え方に触れ、共感し、こちらは「何でも相談して」って思ってても、初めて会う人に自分の内面を語るのにどれほど勇気が必要か、自分の内面を語れる場所、相手なのか、安心して語る事ができた、もっと話してみたくなる、そんか気持ちを少し体験してみる。
絵や本、音楽などから感じた事を言葉にすると語彙が増え、表現が豊かになる、というのもなるほど〜って感じでした。
2時間という短い時間でしたが、自分も人生という物語を紡いでるんだな、と1週間たってもまだ余韻が抜けない、素晴らしい時間でした。

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参加者の方からのコメント
・同じ職種でも、気持ちの距離感はあり、いろいろな見方があるということが、ディスカッションで分かりました。それを確認するためにも意見を聴くということが大切です。いろんな意見を大切にしながら自分も大切にして取り組んでいきたい。
・心を動かされる文章や、絵画を皆で共有することで、様々な見方があることに気づきました。また、興味をもって作品を観ることと、興味をもって話を聴くことによって、さらに深まっていくことも共通していることが分かり、勉強になりました。
・絵画→文章→書くワークという、この順番がポイントなんだと思いました。日頃見逃している多くのものを常にあのペースで見ることは不可能ですが、時々一人で立ち止まったり、時には周りとグループでシェアすることも必要だと思いました。
・「距離を感じた時のこと」で、ある看護師さんは、コロナによる面会制限下に加え、余命も迫る中、患者さんと海外にいる娘さん(=遠距離)をTV電話で繋いでおられた。コロナや病気のことでなく、笑って話したり音楽を楽しまれたということが印象的だった。看護師ができることを最大限に工夫することで距離を解消していた。 ●もうお一人は、元看護師さんの高齢者の人生の「聞き書き」という活動のお話が印象的だった。残念だった例として、録音ししていたこともあり、いつものように話してくれず、心理的距離を感じてしまったケースがあったとのこと。講義で言われていた、その人が安心して話せると思えるということが「聴くこと」なのだと再確認した。 ●グループワークで、「身体的距離」海外、コロナなど。「心理的距離」拒否感、孤独感など。「社会的距離」格差を感じる・感じられるなど。加えて、米田さんより「命の距離感」が出てきた。子どもが病気でも代わってやれない。本当にそうだと思った。まさしくトータルペペインの身体的苦痛・精神的苦痛・社会的苦痛・霊的苦痛の4つと一致しているのが興味深かった。
・相手との心や感覚の距離が近いと感じていたほど、また、丁寧に近づいて関係を気づいたと思っていた時ほど、一つの反応で急にそれが崩れるような、違ったと感じた時の自分の受ける衝撃(落胆や置いていかれ感)は大きいのかもしれない、とそれぞれの体験を通して共通したところでした。
・グループディスカッションは、他の人の話を聴く事で自分と同じと感じたり、そういう考えもあるのかと感じたり、人の意見を聞いて自分のことと置き換えられることができると感じた。
・一人一人の体験が違うと同時に、良い意味で視点も違う、当たり前だけどワークを通して実感できました。
・ナラティブ メディスン。病の体験を物語として理解し、解釈し、尊重する。それこそが病む人々のそばにいる私たちにとって必要なことだと深く感じました。アーサー・フランクの言葉にあった、病む人々は自分自身がその物語を語るのを聴くことによって、他の人々の反応を吸収することによって、そして自らの物語が共有されるのを経験することによって学んでいく。地域でがんサロンを開催していますが、参加者の語りの時間の中で、このことを痛感することがあります。よく聴いてもらえるという体験がやはり大切だということを、栗原先生のお話しの中からまた教えていただきました。