はつかいち 暮らしと看取りのサポーターとは

2014年10月から広島県廿日市市で始めた〈暮らしの中の看取り〉準備講座では、日頃考えることを避けてしまいがちな「看取りとは?」を自分事として考え、これから地域で療養する人が増えるであろう「がんのこと」や「認知症のこと」を学びながら、地域で最期まで安心して暮らすために自分たちにできることは何か?を考えてきました。

その具体的な活動として「聴くこと」と「食支援」を挙げ、〈暮らしの中の看取り〉準備講座や勉強会を開催して実践に向けての準備をすすめてきました。

実際にどんなことができるのか、医療や介護保険制度の枠を超え、あったら良いなと思うことを〈暮らしの中の看取り〉準備講座のグループワークで自由な発想で意見交換し、ここから様々なアイデアが生まれました。

そのひとつは、2017年10月から始まった「介護レストラン」です。これをきっかけに食支援の活動は広がりを見せています。2019年2月から始まった「食事の困りごと相談コーナー」は毎月20日にゆめタウン廿日市のレストラン街で開催しています。

「聴くこと」の具体的な活動として、「がんよろづ相談」を随時受け付けてきましたが、今後は「人生会議」からヒントを得て自分のこれからの人生をどんなことを大切に生きたいのか、個人やグループでの話し合いをサポートします。

「私にもできることがある」とひとりひとりが気づき、今まで見過ごしていたことに目が向くようになり、この仲間が一緒ならできるかもしれない、そんなワクワク感がそこにあります。

 

はつかいち暮らしと看取りのサポーターはこうした活動の中から「できるときにできることを」をモットーに発足し、〈暮らしの中の看取り〉準備講座の運営や、「聴くこと」と「食支援」の活動に参加しています。

❶「聴くこと」は、病気療養中に悩みを抱えている人や、その家族が苦しみを話せる場を提供し、聴くことができる人を養成することを目的としています。病気に限らず災害の被害にあいさまざまな思いを抱えている方たちのお話をじっくりと聴く「お医者さんのお茶っこ」の活動にも参加しています。

「お医者さんのお茶っこ」は、東日本大震災後に緩和ケアの医師が中心となって岩手県大槌町の仮設住宅の談話室で始めた支援活動ですが、仮設住宅の閉鎖を受けて2018年の3月をもって7年足らずの活動を終えました。

その後、2018年7月に西日本豪雨で大きな被害をもたらした広島県でも私たちにできるもことはないかと、呉市安浦町で2018年12月から「お医者さんのお茶っこ」のメンバーと共に活動を再開しました。

❷「食支援」は食事がひとりでできない、あるいは食べられなくなったという問題に「気づいて」専門職に「つなぐ」役割を果たしてくれる人を養成することを目的としています。
このアイデアは、第10回〈暮らしの中の看取り〉準備講座にお招きした五島朋幸先生の講演で紹介された「見つける・つなぐ・結果を出す」から得たもので、先生からの教えを実践しようとするものです。

食べられないということがどういうことなのかを学び、専門家が関わることでどんな変化が起こって食べられるようになるのかということも学んできました。その結果専門家につなぐことができる市民サポーターが育ってきています。

サポーターとしての具体的な活動としては、2017年10月から「介護レストラン」が始まりました。ゆめタウン廿日市のレストラン街で自分が食べたいものを選んで食事をする取り組みは、地域の中で組織の枠を超え、医療の専門職と介護職、一般市民がそれぞれ役割をもって参加しています。

また、2019年2月からは同じくゆめタウン廿日市のレストラン街で「食事の困りごと相談コーナー」が始まりました。介護レストランの時に支配人からの提案をうけ相談コーナーを設けてみると、様々な困りごとを抱えている人がいることがわかり、毎月20日に定期的に開催することになりました。

「できるときにできることを」がモットーの暮らしと看取りのサポーター(くみサポ)のメンバーが、ローテーションを組んで参加しています。じっくりと話しを聴くトレーニングをしてきた市民サポーターも参加し、摂食嚥下障害看護認定看護師、訪問看護師、管理栄養士、歯科衛生士、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、介護福祉士、精神保健福祉士、介護士、医師など多彩な職種が対応いたします。

 

今後も、「〈暮らしの中の看取り〉準備講座」では医療・介護職と一般市民がともに学ぶ場を提供していきます。