2019年10月25日 第57回日本癌治療学会のワークショップ《緩和医療のこれから》の中で、

「〈暮らしの中の看取り〉準備講座」でいつもお話している現状確認ツール

「いまどこなのか」を”IMADOKO”として発表させていただきました。

これからどうなるのか?という漠然とした不安に対して、
この先は体力の低下や食べることが難しくなる時期がやってくるけど、
「今はそれがない一番良い時。このあたり、だからまだ大丈夫」と思えることは
結果として「今をどう生きるか」を考えることにつながります。

看取りを見すえて患者をサポートしていくチームとしても、
現状はどのあたりにあるのかを確認し共有しておくことは
今後の変化に備え、速やかな対応につながります。

 

一方で患者さんやご家族からよく聞かれるのはあとどれくらいか?です。

患者さんご家族にこれからどうしたらよいのかと相談されたとき、
患者さんに最期まで家にいたいけど大丈夫なのか?
ご家族がこれがいつまで続くのか?といった不安を持っているとき、

まずはゆっくりお話しを聞きながら、不安でいっぱいの気持ちを少しずつほぐすように、
今できていることをひとつひとつ確認すると、
今どこなのかが確認できて、今できることがみえてきます。

ひとはいずれ食べられなくなります。がんの人だけではなくすべての人がそうです。

それでも、「まだ食べられる時期」をとても貴重な時間、ありがたいと思って過ごすには、
いずれ食べられなくなることを知ることも大切ですが、
どうしたら今のこの時間に食べることを楽しめるのか、本気で考えてくれる医療者の存在が必要です。

どうしたら食べることを苦痛に感じている人が食べることを楽しめるようになるのか。

みなさんも少し考えてみてください。

 

 

 

そして、がんの家族を支えていくには死へのプロセスを知ることも大切です。

知っていれば落ち着いて自宅でみていられるのに、

知らないとドタンバで救急車を呼んで病院に搬送することになります。
特に多いのはトイレに歩いていけなくなったころ、
そして時間単位に入ったタイミングの呼吸の変化があったときです。

残念ながら、病院に行ってもトイレに歩けるようにはならないし、
呼吸状態がすでに変化して時間単位に入っている時、病院でできることは何もありません。

もし苦しんでいるなら別ですが・・・本当に本人が苦しんでいるのかどうかを見極める力を
医師や看護師は持っていてほしいですし、それを家族と一緒に評価できるようにならないといけません。

 

 

苦しんでないとわかれば家族も安心してみていられます。
救急車を呼ばなくても良いことがわかります。