辻中病院柏の葉 緩和ケア病棟で毎年開催されている緩和ケア市民公開講座でお話させていただきました。

100人近い参加者はほとんどが一般市民で、新聞の広告を見てこられた方や、お友達やご家族ががんで療養中の方、ご自身ががんで療養中の方などで、とても熱心にメモを取りながら聞いてくださいました。

いつもと同じように「看取りとは?」を最初に皆さんに問いかけてみて、何人かのご意見をうかがいます。

この意味は、看取りは決して最期の瞬間そこにいることではない、最期の瞬間だけが大切なのではないよね、ということを確認するためです。

最期の瞬間だけではなく、そこに至るまでのすこし幅のある時間を含めて看取りととらえると、自分は今どう過ごしたらよいのか考えることができるのではないでしょうか。

また、最期の瞬間だけが大切なのではないことを知ることで、これまでの看取利の経験を振り返り、何もできなかったと思っていたのが、自分のあの関わりで良かったのだと気持ちが楽になったという意見をいただくことがしばしばあります。

さて、今回も参加した方々からたくさんのコメントをいただきました。

そのひとつひとつについてはご紹介することを控えますが、患者として、がんやその他の病気を抱える患者の家族として、医療の現場で働く立場として、様々な立場の方がそれぞれに気づきを持ち替えっていただいたことがうかがえます。

アドバンスケアプランニング、人生会議などと呼び方にとらわれず、こうした日頃から考えることや話し合うことが自分の死生観を育み、それを言葉にして人に伝えることができるようになるのだと思います。

そのために学ぶことは欠かせません。先に旅立った先達はどんなことを考えたのだろうか、何を大切にしていたのだろうか、死を目の前にすると人はどんな感情をいだくのだろうか、そんなことを学んでいくと、やはりひとそれぞれなのだということもわかってきます。

多様性を認めるということは、こうした学びから自然と身についていくものでしょう。