2019217日(日)第21回〈暮らしの中の看取り〉準備講座 活動報告

午前:聴く力を養う! 第2 講師:大井

午後:食べられないに挑む!第9
進行:川端・大井 ゲスト:佐々木さん

 

廿日市と近郊からの方はもちろん、福山や尾道、大竹などの県内からのほか、松山からも参加いただきありがとうございました。

=午前=

なぜ「聴く力」が必要なのか?これは、私たちくみサポのメンバーが大切にしている根幹部分です。

二人一組で行ったゲーム形式のワークでは、(話しやすい態度)の聴き手と(好ましくない態度)の聴き手(一人二役)を相手に話をするという体験をしました。

この体験を通じて「相手の態度によって話したい気持ちが変化することがわかった」「普段知らず知らずのうちに話しづらい態度をとっていることに気づいた」「職場や家族とのコミュニケーションでも重要で、〈聴く力〉はいろんなことのベースになるのがよくわかった」などの気づきがあったようです。

 さらに「お医者さんのお茶っこ®」(東日本大震災後に緩和ケアの医師たちで行った支援活動)では、聴き手が〈相手が話したいタイミングまで待つこと・そのような関係性をつくること〉を大切さにしてきたことを紹介。ワークの体験をしたあとだけに、「聴く力」の大切さと奥深さをみなさんと共有しました。

 

=午後=

実際に〈食べる〉体験を通じて、食べることに障害のある人にどう工夫ができるのか、食べたい気持ちになるためにどんな工夫ができるのかを学ぼうという初の試みでした。

 はじめに川端(くみサポ:摂食嚥下障害看護認定看護師)から、食べているときの口の動きにフォーカスした動画を紹介するとともに

試食1:2人ペアになって、スナック菓子、硬さのことなる2種類のゼリーを実際に食べ比べ。

食べるときの口の動きをお互いに観察し、私たちは普段食事の硬さによって無意識のうちに口の動きを変えていることにあらためて気づくことができました。意外に〈食べる〉口の動きがどのようになされているか知らないんですね、自分のことなのに。

こうした体験を通して、身近な方や食べることに困っている方の口の動きを観察することが大切で、それが次の対応につながる可能性を持っているということを知ることができました。

試食2作り方によって異なる食感の里芋饅頭2種類を食べ比べ(左:裏ごして蒸したもの・右:つぶして揚げたもの)

まずは、そのままを食べ比べ、食感の違いを体験、次に両方にあん(とろみをつけた出汁)をかけたものを食べ比べてみました。あんがかかると食べやすくなることを体験しました。
とろみは、片栗粉と葛粉を使用したものを用意して、片栗粉を使用したものは
口の中で唾液と反応して水の様に性状が変わること(離水)を体験しました。これが誤嚥しやすくなる原因なのだそうです。

さて、ここで、佐々木さんがおろし金で削った柚子の皮を茶筅でパッパとふりかけて回ると、会場のあちこちから大きな歓声が!

柚子の香りでこんなにも食欲を誘うことは驚きの体験でした。

試食3いよいよ日本料理 阿津満の店主:佐々木さんにお持ちいただいた白子豆腐です。白子豆腐は豆乳を加えてゼラチンで固めることで口当たりを滑らかに仕上げてあります。切り分けた白子豆腐に出汁ジュレと柚子の皮を振りかけたものを試食していただきました。

 佐々木さんから、食器の色を少し変えるだけで美味しく見えますよという提案があり、白子豆腐には赤い色の容器を用意しました。

さらに、配膳プレートや食器の色を数種類用意して料理によって組み合わせを変えることで、視覚的にも食欲を誘うことや、柚子や生姜などで少し香りづけする一手間で、コストアップすることなく食欲を誘うのではないかとアドバイスをいただきました。

 この他にも、お店では高齢になってきたお客様に合わせて食材や食感を工夫したりしていること(食事の状況や気をつけることを来店の数日前の予約時にお聞きすれば対応してくださるとのこと)、またご自身が口をケガして入院した時にうまく食べられなかった体験をまじえてお話ししていただきました。まだまだ佐々木さんからお話しを聞きたい方もいらっしゃると思います。続きはぜひお店を訪ねてみてくださいね!

◆最後に皆さまからいただいた声を、アンケートの自由記載よりご紹介します。

・聴く事の大切さをしみじみ感じました。
・分かりやすい言葉で理解出来た。改めて、聴く姿勢を学ぶことが出来た。
・次に何を相手に言わなくてはいけないか考えながら、聴く事が良くあります。改めて考えさせられました。
・こころのケアについて考えさせられる、そして心に響く内容でした。
・お医者さんのお茶っこの活動に感動しました。(数名)
・分かりやすい言葉で理解出来た。改めて、聴く姿勢を学ぶことが出来た。
・色々な食材の工夫で、こんなにも感動を与えられるのかとびっくりしました。
・ちょっとした食事の工夫は薬局でも伝えれるので実践したい。
・大将の話を聞いて、自分の病院体験と仕事の中での事を思うと、「これは何であるか」をミキサー食で伝える事は改めて大切だと思った。
・嚥下食の食べ比べをした事が無かったので、仕事に活かそうと思った。
・食事の相談を患者様から受けるので、食器やゆずなどの工夫を今までの指導にプラスして伝えていこうと思います。
・廿日市の取り組みが、いろんなアイデアがあり、困っている方の役に立って素晴らしいと思います。